青空バスケ―another story―

次の日の朝。

俺のケータイに着信があった。

眠かった俺は名前も確認せずに通話ボタンを押していた。


「もしもし……」

《…………………》

「もしもし?」


何だ……間違い電話か?

そう思った……その時だった。


《……ハル兄ちゃん?》


俺は慌ててケータイに表示された名前を見た。

《着信 伊沢 七海》

七海から……。

いや、七海のケータイからだった。


「……海里?」

《うん。そうだよ》

「どうした?」

《あのね、今内緒でお姉ちゃんのケータイ使ってるの。
秘密だよ》

「うん、分かった」

《ハル兄ちゃん……バスケしよう》


……いつもの海里と何かが違う気がした。

元気がない……。


「……いいよ。いつやる?」

《……今日じゃダメ?》

「え……今日?」

《うん……早くハル兄ちゃんに会いたい》

「海里……何かあったのか?」


明らかに様子が違う……。

声だけで分かる……。


《何でもないよ。
……今日はダメ?》

「俺、部活あるからちょっと遅くなるけど……」

《いいよ》

「ちゃんとお姉ちゃんに伝えてからおいで」

《……お姉ちゃんにはヒミツ。
パパに言うね》

「……分かった。
じゃあ、またあとでな」

《うん。ありがとう、ハル兄ちゃん》


静かに電話を切った。


……海里、七海には知られたくないみたいだったな。

……伊沢家で……何かあったのかな。


心配はますます膨らんでいった。
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