青空バスケ―another story―
「……海里、俺達の前では我慢してたのか」
お父さんがふうっと息を吐いた。
「海里は……ちゃんと分かってるんだ。
七海が自分の時間を犠牲にして海里の面倒を見てるって……」
「………………」
「でも、七海はそれが犠牲だなんて思ってない。
海里の面倒を見るのは七海にとっては当然だったんだ。
海里が生まれた時からずっと七海が面倒を見てきたから……」
海里が生まれてすぐにお母さんが亡くなったんだっけ……。
「……俺も七海に頼りっぱなしだったから。
本当……ダメな父親だよ」
お父さんはそう言って苦笑いをした……。
「……再婚しようと思ったこともあるんだ」
「え………」
「七海が中学に入った頃にね。
友達はみんな部活に入ってるのに……七海は入らなくて。
……本当は入りたかったはずなんだ。
みんなと一緒に……やりたかったはずなんだよ」
そう呟くお父さんは……どこか切なげだった。