青空バスケ―another story―
「それで……七海は何て……」
「まだ迷ってる。
……どっちを選ぶと思う?」
「……分かりません。
けど……何となく予想はついてます」
……分かるよ。
一年一緒にいたら……大体分かる。
「……七海には幸せになってほしいんだ」
「……はい」
「今までいろいろ我慢させた分……幸せに」
お父さんは七海の幸せを切実に願っている……。
本当に……心から。
こうして話していると、あっという間に伊沢家に着いた。
「上がっていくか?」
「いえ……今日は遠慮しておきます」
そう言いながら海里をお父さんに渡す。
「ありがとう。助かったよ。
……きっと、海里が本音を話せたのは陽斗君だけだったと思うから」
「……でも、海里はパリに行くんですよね」
「あぁ……。
こればかりはな……」
「海里も分かってると思います。
だから……そんな顔なさらないでください」
海里はみんなが思ってるよりずっと大人だから……。
きっとお父さんと七海の気持ちはよく分かってる。
だからこそ……本音を隠すしかなかった。
俺はお父さんの腕の中にいる海里の頭をそっと撫でた。
明日……七海とちゃんと話そう。
そう……心に決めた。