青空バスケ―another story―

「迷ったんだよ……。
でも……ほっとけないの。
海里もお父さんも……」

「……うん」

「お父さんは簡単なものしか料理できないし、家事は苦手だし……。
海里は……あたしに心配かけないようにって頑張ってるけど……実は寂しがりで甘えん坊だし……」


でも……違うんだ。

本当は……そうじゃない。


「本当は……あたしが離れたくないの。
家族がいなくなるのは……嫌……」


お母さんがいなくなった時……嫌というほど感じさせられた。

……嫌。

家族がいなくなってしまうのが。


「……やっぱり」

「え……?」

「絶対そうだと思った」


そう言ってあたしを抱きしめながら笑うハル君。


「……分かってたよ。ちゃんと」

「ハル君……」


……わがままだけど……この温もりも失いたくない。

ずっとそばにいてほしい……。


心から……そう思った。
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