青空バスケ―another story―
次の日。
あたしは朝早くに起きて、準備をした。
一番お気に入りの服を着て、髪型を整えて。
変じゃないかな……大丈夫かな……って何度も鏡の前でチェック。
……初デートの時みたい。
でも……今日はあの時とは違う気分。
全然……違う。
「……お母さん」
……出掛ける直前にお母さんの仏壇の前に座って話しかけた。
写真の中のお母さんはとても優しく微笑んでいる。
「……明日、パリに行くよ。
お墓参りも……当分行けないかもしれない」
月命日には必ずお父さんがお母さんの好きな花を持ってお墓参りをしているのをあたしは知ってた。
お父さんは何も言わなかったけど……。
……でも、あたしも毎回行ってたから。
「……ねぇ、お母さん。
……お父さんと離れ離れになったとき……どんな気持ちだったの?」
お母さんがこの世からいなくなるとき……どんな気持ちで去っていったの?
「お父さんはね……泣いてたよ。
お母さんのこと思い出しながら……いつもあたし達に隠れて泣いてた……」
お父さんは……本当にお母さんのことを想ってたんだよ。
世界で一番……お母さんのことを愛してた。