青空バスケ―another story―

「……ハル君と……明日でお別れなんだ」


静かな部屋で……ポツリと呟く。


「……あたしね……ハル君と出会って初めて知ったんだ……」


二年前……バスケをしているハル君の姿に一目惚れをした。

……一年前。

ハル君と同じクラスになって……想いが通じあった。


「っ……こんなに人を好きになるのっ……初めてだよ……」


……もしお母さんが生きてたら。

こんな時……何て言葉をかけてくれたんだろう。

どんな風に……あたしを励ましてくれたのかな。


「……人を愛するって……苦しいね……」


あんなに大好きで……あんなに幸せに満ち溢れていたのに。


離れるって分かってからは……どこか寂しかった。


ハル君のあの優しい笑顔も……ハル君が頭を撫でてくれることも……優しく抱きしめてくれることも。

……全部がなくなってしまうって思うと……苦しかった。


『七海』


あたしを呼ぶ声が……遠く感じた。

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