青空バスケ―another story―
……涙を拭って立ち上がる。
……今日は泣かない。
そう決めた。
最後は笑って終わりたい。
良い思い出のまま……終わりにしたい。
「……いってきます、お母さん」
脇に置いてあったバッグを持って振り返った。
その瞬間……あたしの動きが止まった。
「……お父さん」
……寝てると思ってた。
お父さんは気まずそうに頭を掻きながらあたしに近づいてきた。
「ごめん……七海。
覗くつもりは……」
あたしはゆっくりと首を横に振った。
「お互い様だよ。
……あたしもここでお父さんが泣いてるとこ……見てたから」
やっぱり親子だね。
やってることが一緒だ。
「七海……やっぱり、お前……」
「お父さん」
何かを言いかけたお父さんを止めた。
……何を言うのかなんて分かっていた。
「もう決めたんだよ。
……今更変えたりしないから」
いってきます。
そう言って家を出た。