青空バスケ―another story―

「そりゃ、言われるだろー。
25にもなって女の気が全く見えないんだぞ!」

「ま、高校生にも心配されるわな」


大和と栞奈にそう言われたことを、たまたま夜に会ったイツと侑哉に話した。

ちなみにイツは松山と婚約中だ。

あの“松山”と。

お友達から始まった二人の関係は良い方向に転んだらしい。


「ハルはさ、ナナちゃんとあれから一度も会ってないんでしょ?
しかも連絡も取ってないし……」

「イツ」


侑哉が声を出すと、イツは黙った。

ごめん……とイツは小さな声で謝る。


「……ちょっとは思ったこともあるよ。
会えないのはしょうがないとして、連絡すら取れないのに……って」

「ハル………」

「もし今俺の心が傾くような女の子に出会ったら……どうなるか分からない」


七海と約束した。

もし俺好みの女の子と出会ったとしても七海を待ち続けるって。

……でも、さすがに限界に近づいてきたのかもしれない。

今でも七海は好きだ。

だけど……七海の笑顔が……声が……どんどん俺の記憶から薄れていく。


あの時の俺は……“待つ”っていう言葉を軽く捉えていた。


一年や二年ならまだしも、いつ帰ってくるか分からない相手を待つのは……キツい。




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