青空バスケ―another story―

「……きっと、陽斗と約束した女の子は陽斗のことを信じて待ってる。
でも……その約束に縛られて、陽斗が苦しんでまでして待っててほしくはないと思うわ」


誰だって好きな人には笑っててほしいものよ。


……おばさんのその言葉が胸に染みた。


「陽斗は今、その子以外の好きな人はいるの?」

「……いや」

「じゃあ、陽斗に好きな人が現れるまでの間が約束ね。
もし好きな人が現れなかったら、きっとその子が陽斗にとっての運命の人」


運命……。


「もしそうだとしたら、いつか絶対再会できるわよ」


おばさんが優しく笑った。


「いつか陽斗の良い話が聞けること、楽しみにしてるわね」

「……ありがとう、おばさん」


侑哉の話を聞いて……おばさんの話を聞いて。

少し気持ちが楽になった気がした。


「あ、そうだわ。
せっかく陽斗がいるんだから、おつかい頼もうかしら」

「おつかい?」


おばさんは俺の前に弁当箱を置いた。

……すぐに予想がついた。


「……何これ」

「大和が忘れていっちゃって。
届けてくれる?」


……そんなことだろうと思った。


「いいよ。
行ってくる」

「ついでに一緒に混ざってバスケでもして気分転換してきたら?」

「んー……気が向いたらな」


俺は大和の弁当箱を持って家を出た。


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