青空バスケ―another story―
伊沢は少し腕を組んで考え始めた。
んー……と声を出しながら悩む伊沢。
すると、突然パッと顔を上げた。
「ハル君」
「え……?」
「だから、ハル君」
ハル君……。
「……何か普通」
「え!?」
ってか、カブってるし……。
俺の頭にはハル君!と笑顔で呼ぶ女の子の姿が浮かんだ。
「………ぷっ」
「なっ……何で笑うの~……」
「いや、こっちの話……ははっ!」
チワワみたいな小学生と同じ考え方してる。
それがおかしくて思わず笑ってしまった。
「ハル君っていいじゃん」
「悪いとは言ってないよ」
ハル君って呼んでる子いるし。
小学生だけど。
「……ハル君」
「何?」
「ハル君」
「だから何?」
「ハル君……」
「はいはい」
名字で呼ばれるより、こっちの方がグッと距離が縮まった気がした。