青空バスケ―another story―
臆病な心
七海side

海里が手がかからなくなって……二年前にあたしは帰国した。

五年間……連絡なんてまともに取ってなかったけど……ハル君に会いたかった。

会いたくて……会いたくて……しょうがなかった。


パリにいる間に番号もアドレスも変えた。

日本にいる誰にも教えなかった。


……誰かと連絡を取ったら……勢いで日本に帰ってしまいそうだったから。


ハル君に……会いたくなっちゃうから。


でも、そのおかげで日本に帰っても誰とも会うことはできなかった。


昔住んでいた場所に戻っても……みんなあの辺りには住んでいないらしかった。


みんな家を出ててもおかしくはないし……会えないのは勝手に連絡を断った罰当たりだと思っていた。


もっといろんなところをあたれば、誰かしらに会えたかもしれない。


……でも、あたしはこれ以上探そうとはしなかった。


……怖かった。

ハル君に会うのが……。

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