青空バスケ―another story―
あたしは地元から少し離れた小さなデザイン会社で働いていた。
帰国して二年。
恋をすることもなく……ただ淡々と代わり映えのない日常を送っていた。
「七海、そろそろお昼行こ」
「あ……もうそんな時間か」
んー……!と大きく伸びをして、立ち上がった。
朝からずっと座りっぱなしだったせいか少し腰が痛い。
「頑張るね~、七海は」
「あとちょっとで完成だから」
同僚の種見唯―タネミ ユイ―
帰国してから初めてできた友達。
「頑張るといえば、あそこも……」
「あそこ?」
唯の視線を辿ると、もう昼休みだというのに真剣にパソコンと向き合ってる人。
「久坂くーん、目が怖いわよー」
「は……?
……何だ、種見か」
「何だとは何よ。
心配して声かけてあげたんじゃない。
ねー、七海」
「無理しすぎないでね」
あたしがそう言うと、久坂君はにっこり笑った。
「ありがとな」