青空バスケ―another story―
「……会いたくないわけじゃないの。
……ただ、会うのが怖いの」
「怖い?」
「……好きだから」
……久坂君は手を止めてあたしを見た。
「……大好きだから。
もしその人に他に大切な人がいたら……って考えると……怖くて会えない」
いてもおかしくはないの。
25だし……結婚だって考えるようになってくるし……。
いくら約束はしても、帰ってくるかも分からない相手を待ってるなんて……
「……それでも、その人が幸せに暮らしてるならいいかなって……思った時期もあったよ。
……でも、やっぱりショックだから。
そうやって傷つくぐらいなら……会わない方がいいかなって」
……結局は自分が傷つきたくないだけ。
……こんなんじゃダメだって分かってる。
でも……それぐらいハル君のことが好きなんだよ。
「……じゃあ、さ」
「ん……?」
「一回……ちょっと見る方向を変えたら?」
「え?」
見る方向を変える……?
意味が分からなくて、あたしは首を傾げた。