青空バスケ―another story―
「……好きだよ」
「え……?」
「俺……伊沢のことが好き」
思ってもみなかった言葉に、あたしは目を丸くした。
久坂君はまっすぐあたしの目を見ていた。
「伊沢がその人のことが好きだって言うんだったら、それでもいい。
でも……少し視点を変えてみたら?」
「視点を……変える……?」
「その人ばかり見てないで……他の男も見たらってこと」
他の人……か。
「辛いだろ。
ずっとその人ばかり想い続けてたら」
「………辛くないとは言えないけど……」
「……一回、俺と付き合ってみない?」
久坂君………。
「でも、あたし……」
「……七海?」
……聞き覚えのある声が聞こえ、あたしは固まった。
……振り返らなくても、誰だか分かった。
不思議……七年も声を聞いてないのに。
……あたしは恐る恐る振り返った。
そこには……予想通りの人物が立っていた。
「ハル………君」