青空バスケ―another story―

「……それで、陽斗はもう伊沢に会わないつもりか?」


俺は持っていたグラスをテーブルに置いた。


「……どうだろうな」

「どうだろうなって……何で!?
せっかく近くにいることが分かったんだから、会いに行けばいいじゃん!」

「……無理だ」

「どうして!?
好きならもう一度やり直せばいいじゃん!
ていうか、何で会った時にもっと話さなかったわけ!?
弟の連絡先渡すのも大事だけど……もっと二人にとって大事な話があっただろ!」

「男といたんだよ!!」


……イツよりも大きな声で反論すると、イツがビクッと反応した。

そんな俺達を見て……侑哉が小さくため息をつく。


「……男って?」

「知らない。
……けど、何か告白されてたっぽいし。
……邪魔したら悪いだろ」


俺は残ってたビールを一気に飲み干すと、立ち上がった。


「陽斗」

「……帰る」

「……お前な。
ちゃんと話さないと見えてこない真実だってあるぞ?」

「………………」


……俺は何も答えずにカバンを持って店を出た。
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