青空バスケ―another story―

「まぁ、とにかく!
陽斗は香田ちゃんにはっきり言うこと!」

「……あぁ」


はっきりって……どう言えばいいんだ?

んー………。


「あんなに絡まれてるところ、もし伊沢に見られたら絶対誤解されるぞ?」

「………え?」


俺は思わず箸を丼のスープの中に落としてしまった。


「……そんなにイチャついてるように見える?」

「見える見える」


タケが大きく頷く。

……俺はあの居酒屋での出来事を思い出していた。

確かあの時香田が来たのは……


「………やっちゃったかもしれない」

「は?
……まさか、陽斗……」

「……見られてた。
確実に………」


ていうか、あの時俺を呼び止めようとした七海の声を遮ったのは香田だ。

七海が香田の姿を見ていないはずがない。


「おいおい……。
それは早く弁解しに行ったほうがいいぞ」


……弁解しに行くって言っても……七海がどこにいるのか知らないし。


そもそも今更弁解しに行っても……


あの男と七海がくっついてる可能性だってあるわけだろ?


……行けるわけねぇじゃん。


「………はぁ」


俺は少し冷めかけたラーメンのスープを見ながら大きくため息をついた。

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