青空バスケ―another story―
俺が思わず聞き返すと、海里はしれっとした顔で答えた。
「ママはね、ボクが生まれてすぐに死んじゃったんだって」
「そう……か」
じゃあ海里はお母さんのことを知らないってこと……だよな。
……何て質問をしたんだ、俺は。
知らなかったとはいえ……惨いことを聞いてしまった。
ママの料理とどっちがおいしいって……。
「だからね、お姉ちゃんがママなんだよ」
「お姉ちゃんが?」
「うん。
お料理も洗濯もお掃除も、全部お姉ちゃんがやってくれるんだよ。
だからお姉ちゃんがママなの」
……七海が家事。
料理、洗濯、掃除……。
毎日それをやってる自分を想像してみる。
もちろん部活なんかやってられないし、朝だって早く起きなきゃいけない。
休みの日だって、休むことはできないだろう。
バスケやんないの?
マネージャーは?
何も知らずにあんなことを聞いた自分を殴ってやりたい……。