青空バスケ―another story―
七海は走り寄ってきた海里を力強く抱きしめた。
心配してたんだな……。
「どこ行ってたの!
お友達と遊びに行くときはちゃんと書き置きしなさいって言ったでしょ!」
「違うの、お姉ちゃん。
あのね……」
「もう7時だし……こんな時間まで何してっ……」
「七海」
少し興奮してる七海を落ち着かせようと声をかけた。
すると、七海は少し驚いたように俺を見た。
「ハル君……?」
それ、と俺は口パクで言いながら海里の持ってる傘を指さした。
「傘……?
……これ、あたしの……」
「お姉ちゃん、今日傘持っていかなかったから……。
雨いっぱい降ってきたから……」
「え………」
「ごめんね……お姉ちゃん。
怒ってる……?」
七海の顔を恐る恐る覗きこみながら聞いた海里。
七海はそんな海里をギュッと抱きしめた。
……七海の目には涙が浮かんでいた。
「……ありがとう。
ありがとね……海里」