青空バスケ―another story―

海里は七海から離れると、俺の手を引いて七海の前に連れてきた。


「あのね、ハル兄ちゃんと一緒に来たんだよ」

「そっか……。
ごめんね、ハル君。
迷惑を……」

「全然。
海里、いい子だったし」


な?と声をかければ、海里は嬉しそうに頷いた。

そんな海里の頭を撫でてやった。


「今度ね、ハル兄ちゃんとバスケやる約束したの!」

「バスケ?
キャッチボールじゃなくて……バスケ?」

「うん!
凄いんだよ!
侑兄ちゃんもイツ兄ちゃんも、すごい高いカゴにボール入れられるんだよ!」


どうやら侑哉とイツにシュートを見せてもらったらしい。

なるほど、それで……


「ハル君……なんか、イッ君達にもご迷惑を……」

「大丈夫だって。
アイツらも楽しんでたし」


寧ろイツより精神年齢が上だったっていうか……。


「お姉ちゃん、お家に帰ろう?」

「そうだね。
ハル君、本当にいろいろありがとう」

「大したことしてないって」

「助かりました。
じゃあ、またあし……」

「ハル兄ちゃんも一緒に行こうよ」


海里が俺の制服の裾を引っ張りながらそう言ってきた。


「え……あ、いや……でも……」

「そうだね。
ハル君、せっかくだからお礼に夕飯でも食べてってよ。
まぁ……あたしが作ったやつだけど……」

「え……いいの?」


食べたい。

七海の手料理。


「やったー!
ハル兄ちゃんとご飯だ!」

「あ、おい、海里……!」


俺は海里に引っ張られるようにしてなぜか伊沢家に行くことになった。

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