青空バスケ―another story―
「ハル兄ちゃんこっちだよ!」
「海里っ……ちょっ……待てって」
子供の体力は底知れない。
いくら部活で鍛えてるとはいえ、子供に手を引っ張られ、中腰のまま走るのはキツい。
「海里!
お兄ちゃん疲れてるんだから、そんなに走っちゃ……」
「お姉ちゃん遅~い」
「なっ……お、遅くないわよ!
これはちょっと手を抜いてるだけで……」
そう言いながらメッチャ息切れてますけど。
小学生相手に見栄張らなくても……(笑)
「ここだよ!」
いつの間にか目の前にあった、伊沢という表札がかかってる家。
ここが七海の家……。
「カギ掛かってるわよ!」
後ろから七海の声が聞こえた。
「だって、海里。
ここでお姉ちゃん待ってようって……え?」
海里が普通にドアノブに手をかけると、そのままガチャリと音がした。
え……開いた?
「ただいまー!」
元気な声で海里が中に入っていく。
え?
これ……俺入ってもいいの?
「ハル兄ちゃん早く!」
「あ……あぁ」
海里に急かされ、ゆっくりと家の中に足を踏み入れる。
「おじゃまします……」
何でカギ開いてたんだろ……。
七海が開けっぱなしにしたとか?
……うん、ありそうだ。
カチャ……
すると、急に家の中のドアが開いた。
ゆっくり……ゆっくりと体が出てきた……。
「お、海里。帰ったのか」
え……?知り合い……?
「パパ!ただいま!」
ぱ、パパ!?
え、てことは……七海の……
「あれ?お父さん、帰ってたの?」
お父さん……。
……俺はお父さんの顔を見たまま固まった。
「今日は早く終わってな。
で、えっと……こちらはどちら様かな?」