青空バスケ―another story―
仕方なく一人でホッチキス留めを始める。
侑哉はその内ひょこっと戻ってくるだろう。
イツは……うん。
イツには期待しない。
「あれ、ハル君」
「七海」
「さっきイッ君と風見君が走っていったけど……何やってるの?」
「部長に押し付けられた」
七海は俺の机の上に載ってる紙の束を見てプッと吹き出した。
「エースなのに雑用?」
「あの人は俺をコキ使うのが好きなの」
ふふっと笑いながら七海が俺の方を向いて座った。
「手伝ってあげようか?」
「え……いいの?」
「その代わり」
「その代わり?」
「いつ暇?」
はい……?
え……何?
これって……え!?
「あ………」
「海里がね、ハル君とバスケするってうるさいの。
それで、よかったら……あ、でも大会前で忙しいかな?」
あー……そういうこと。
そうだよな……うん、何を期待してたんだ俺は……。
「大丈夫だよ。
んー………再来週の日曜なら午前練だから……その日でいい?」
「うん。ありがとう」
「海里と約束したからな。
約束は守らないと」
それに。
バスケが好きになってもらえるのは何より嬉しいし。