青空バスケ―another story―

ハル君はチラッとあたしを見ると、何にも言わないまま風見君の方に視線を戻した。


「帰ってきたけど……お邪魔になるといけないから、イツのとこ行ってくるわ」

「は?」

「陽斗。
伊沢がお前に聞きたいことがあるらしいから、聞いてやって」

「え!?ちょっ……風見君!?」


風見君はニタニタ笑いながら教室を出ていってしまった。


えぇ……置いてかないでよ……。


まったく、アイツは……とブツブツ呟きながら椅子に座るハル君。


「それで?
俺に聞きたいことって?」

「い、いいよ……もう……」


聞けない……聞けないよ!

あたしにそんな勇気はないよ!


「さっきまで散々俺の話してたクセに?」

「え……き、聞いてたの?」

「あぁ」

「どこから!?
どこから聞いてたの!?」


あたしが身を乗り出して聞けば、ハル君は少し驚きながら口を開いた。


「侑哉が俺が告白を断ってるって言ってた辺りからだけど……何でそんなに焦ってんの?」

「あ、焦ってないです……」


そこからなら、まぁ……よくはないけど……まぁ。


「ていうか……だったらあたしの聞きたいこと分かってるじゃん」

「うん、分かってた」


……イジワル。

ハル君は時々イジワルだ。


でも……そんなところも好きなあたしは相当重症だと思う。


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