青空バスケ―another story―
結局その後は何もないままホームルームが終わって解散になった。
始業式の日は学校が終わるのが早くていい。
俺は教室を出て、侑哉とイツと体育館に向かって歩いていた。
「今年はどんな一年が入ってくるかなー」
「こんなイツが先輩か……」
「こんなってどういう意味!?」
「いろいろ不安だな……侑哉」
「……あぁ。
苦労が目に見えて……」
イツが先輩とか……考えられない。
ていうか、後輩にもバカにされそうな先輩だな。
「俺の今年の目標はレギュラーだけじゃなくてスタメン入りだな。
陽斗とイツは?」
「俺も!
ハルには負けないもんね!」
「もんねって……イツ、キモい」
「ハル君ヒドい!!」
「あ、そうだ。
俺ちょっと購買に寄ってから行くから……」
……ん?
ちょっと待て……。
俺はズボンのポケットを上から叩いた。
見事にペッタンコだ。
ブレザーのポケットも……。
慌ててカバンの中を漁った。
……ヤバい。
「ちょっ……俺、教室に財布忘れたから取ってくる!」
「陽斗?」
「先行ってて!!」