青空バスケ―another story―
ヤバい……。
財布を忘れるのはマズい。
俺は急いで教室に戻った。
勢いよく扉を開けると……誰もいないと思ってた教室内に誰かがいた。
「あれ……浦山君?」
この声……。
「浦山君も忘れ物?」
あの子だ……。
平静を装って俺も口を開く。
「てことは、そっちも?」
「うん。ケータイ忘れちゃって」
「俺は財布」
そう言いながら机の中を覗く。
あった……!
よかったー……。
「よかったね」
そう言って微笑む彼女。
……可愛い。
素直にそう思えた。
「……あのさ、名前聞いてもいい?」
「伊沢七海です」
伊沢七海……。
―イザワ ナナミ―