青空バスケ―another story―

あたしはそっとハル君の背中に腕を回した。

それに気づいたハル君がさっきよりも抱きしめる力を強くした。


「……好きだよ。
ハル君………好き」


好き。


一度言葉にしたらどんどん溢れてくる気持ち……。

それは留まることを知らずにあたしの心を満たしていく……。


「七海……」


すぐ耳元で聞こえる、ハル君の声。

何か安心する……。


「ハルく……」

「ただいま~」


あたし達は慌てて離れた。

すると、すぐにリビングのドアが開いてお父さんがネクタイを緩めながら入ってきた。


「おかえりなさい……」

「おじゃましてます……」

「お!陽斗君!
遊びに来てたのか」

「う、うん……。
海里にバスケを教えてくれて……」

「あぁ、そういえば海里が言ってたな。ハル兄ちゃん!って最近はよく言ってるもんな~」


呑気にソファに腰を下ろすお父さん……。


あたしの心臓はバクバク……。


「お、お父さん……今日は早いね」

「そうか?
日曜出勤の日はいつもこんなもんだろ」


そうでした……。


「陽斗君、そんなとこに立ってないで座りなよ。
あ、そうだ!
今日も飯食ってくか?」

「え……いや、あの……」

「そうと決まれば飯だ!
七海、今日は何だ?」


ご機嫌なお父さんと、お父さんの横で困ったように苦笑いをするハル君……。


ごめんね、ハル君!

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