青空バスケ―another story―

その時、ハル君の腕が少し緩んだ。

その隙に顔を上げて、ハル君の顔を見る。


「あっ…………」


ほんのり赤いハル君の顔。


「……やっぱり可愛いじゃん」

「だから、可愛いは嬉しくないの」

「じゃあ、カッコイイ」

「……じゃあ、七海は可愛い」

「えっ………!」


そ、そんな不意打ちなんて……


「………………」

「ははっ、七海の顔真っ赤」


そう言いながらあたしの頬に触れるハル君。

ハル君の手は……大きくて温かい。


「……七海」


ハル君があたしの名前を呼ぶ。

不思議と……ハル君から目が離せなくなった。


ハル君の顔が少しずつ近づいてくる……。


そのまま目を閉じると……そっと唇が合わさった。


ハル君の温もり――


ゆっくりと唇が離れ、目を開ける。


何だかちょっぴり恥ずかしくて、どちらからともなく笑った。


屋上で……初めてのキス。


少し恥ずかしい、甘酸っぱい思い出。


< 91 / 300 >

この作品をシェア

pagetop