地味子と王子が会っちゃった
ギュッと目を瞑ると

「その手を離せ。」

低い声が聞こえた。

ゆっくり目を開けると

「桜…蔭…君…。」
桜蔭君が、私の腕を掴んでいた先輩の腕を掴んでいた。

ちっ、行くぞ!

そんな声が聞こえ、手にかかっていた圧力が、ふっと緩んだ。

思ったより強く握られていたのか、手首に赤いあとがついていた。


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