メルヘン侍、時雨れて候
「あのー

たとえば・・・その・・・

僕はね

破の続きが見たかったのかなーなんて・・・

あはは。 シンジ君いきなさい!

とか、綾波ちゃんペロペロとか・・・」


『弱い!』


「綾波ちゃんペロペロ!」

『まだ、弱い! もっと!』

「巨大化した綾波ちゃんペロペロー!」

『うむ。なにかふっきれたようじゃなぁ。いい顔になってきた』

「ハァ…ハァ・・・ アリャシャゴシャリマス‥‥‥」


『はい、続けて』


「まぁ、ね、僕が一番ね、破の続きとしてのエバQを楽しめることができたんだと思うんですよ。ホントに」

『ほう、それで?』

「エンディングでは、ありがとう!ありがとう!なんて絶叫しながら魂のルフランを歌いたかったのですよ。

少年は神話になるんじゃなかったんですか?

なんなんですか、え?

14年が経ちましたーとか

あのな。俺のミサトさんを返せ! 返せよ!」

ミサトさんの名前を出した瞬間に、ご隠居の顔つきが変わり、メルヘンさんの話は即座に遮られた。

『おまえさ』

「はい」

2人の間に緊張が走り、季節はずれの風鈴がチロリンと鳴った。

『おまえとエバのファーストコンタクトってのは、いつだ?』

「へ?・・・それは・・・」

『どうせ金曜ロードショウだろう?』

「は、いえ、ちがいます」

『パチンコ屋か? あのリーチのときのATフィールドぐぐぐぐぐか?

そうなんだろ』

「ごいんきょ?」

『オマエらみたいなもんはさ、ワンピースとか見とけばいいんだよ』

メルヘンさんの両拳が熱く固まり、指先は湧き出る汗を感じた。


「ごいんきょ?・・・」

『おまえみたいなガキがな

エバをおもしろがろうなんてのは早いって言ってんの』

「ごいんきょ? 何を?」

『たとえばな、ルパンがなぜ不二子ちゃん不二子ちゃんいってるかわかる?』

「そりゃ、おっぱいじゃないですか?」

『まぁ、そうでもあるが、おっぱいなら別にほしのあきでもいいわけだし篠崎愛ちゃんだっていいわけなんだよ』

「ものまねの番組の乳揺れが半端なかったですはい」

『そう、篠崎愛ちゃんのおっぱいには人の思考を止めてしまうチカラがある。あのおっぱいは不景気だから支持されてるようなそんなたぐいのものではない。あれこそが第三次世界大戦の引き金になりうるって、そんな話をしてるんじゃないだよ』

「そうですね。ルパンですよね」

『そう。ルパ~ンと期待させては、最後の最後は綺麗に裏切る。そこがいいんだよ』

「そこ?」

『うむ、小悪魔的な魅力じゃ、見てる方もわかってる。もしかしたら

いや、もしかせんでもルパンだってわかってる。


気があるように見せては、その気にさせては、はぐらかせる。

それも何度も何度でもだ。

そうだな。

たとえば家でね、新聞とか雑誌とか読んでたらね、その上に乗ってくるくせに、こっちから触りにいくと逃げちゃう子猫ちゃん的な。そんな魔性の魅力。これを知ってか知らずか、まぁわかってんだろうな。庵野の野郎は、しれぇーと、やりおる』

「はぁ」

『さんざん凄いぞ! これは、すごいぞと期待させて

彼は・・・彼は。。。はぁ、はぁ・・・やりおるのじゃよ』

「はぁ」

『それを含めて、はぁ・・・はぁ・・・エバの・・・』

「ご隠居! あのー。だいたいわかった。だいたいわかったからもういい。それに、その例え、なんかピンとこないし!」

『それがエバの・・・』

「いや、ルパンとか不二子ちゃんとか子猫ちゃんとかいわれても

エバはルパンじゃないし」

そのあと息を整えたご隠居は真っ赤な顔をしながら宮崎駿論と庵野論を歴史から語り出しラピュタの巨人兵を庵野が担当してというどうでもいいオタ知識を散々ひけらかすだけひけらかすのだった。

気持ちが良さそうに話す老人だなと、その様子を眺めていると、だんだんと、ああ、この人もこの人なりに期待していたものを裏切られて、それをどうにか納得しようと必死なんだなぁと思った。


<<つづく>>


【次回予告】

♪メメ メルヘン メメメ メルヘン この世はなんとかパラダイス♪

ついに刀を抜き覚醒するメルヘン侍

ご隠居の妹が言う。

「あんたはもうメルヘン侍なんか書かんといてください」

「僕が一番上手にエバを面白がれるんだ! 書かせてください」

カヲル君とは一体なんだったのか?

突如東京に現れる巨神兵!

眼帯をしたイトキチ侍

ご隠居が言う。

「おまえはもう何もしなくてもいい」


次回更新もサービスサービス♪




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