涙と、残り香を抱きしめて…【完】
初めの内は抵抗してたけど、彼の強引な口づけと激しい愛撫に私の理性が壊れていく…
彼のなすがまま身を委ねると、いつしか快楽の波に呑まれ、ここが成宮さんの実家という事さえ忘れてしまっていた。
背中を這う尖った舌に感じながら肌触りのいいシーツを強く握りしめると、乱暴に腰を引き寄せられ、次の瞬間、彼を全身で感じた。
そして、同時にそれが悦びへと変わり、徐々に解き放たれていく。
仁に女にされたこの体が、仁以外の男性を知らないこの体が、成宮さんの色に染められていくみたいで…
今まで何度も成宮さんに抱かれ満足はしていたけど、何かが違う…そんな気がしていた。
だから、こんなに感じたのは初めて。
それは私の体が、やっと彼を受け入れた証拠なのかもしれない。
身も心も溶け合い一つになり、強く結ばれていく様な不思議な感覚。
薄れゆく意識の中、私は確信したんだ。
荒々しくこの身を貫く
成宮蒼を…
愛してる。と…
結局、私達はお正月が終わる3日まで彼の実家で過ごした。
帰り際、お母さんの「これでゆっくり眠れるわ」と言った言葉に赤面してしまった。
大通りに出てタクシーを拾える所まで歩く道すがら、私がため息混じりに「お母さん、気付いてたんだ…」と言うと
「だな、まぁ、あんだけ激しくシたら下に響くだろうな。
お袋の部屋は、俺達が寝てた部屋のすぐ下だし」と成宮さんも苦笑い。
「好きモノの女だなんて思われてたりして…
なんかヤだなぁ~…」
「実際、好きモノだから仕方ねぇだろ?」
「な、酷い!!」
成宮さんの背中をボコボコ叩く私に、彼は優しく微笑み言う。
「でもな、お袋言ってたよ。
いい娘さんだね…って、俺にはもったいないってさ」
「ホントに?」
「あぁ、俺も…そう思う」
「成宮さん…」
足を止めた成宮さんが、真剣な顔で私を見つめた。