涙と、残り香を抱きしめて…【完】

てなワケで、問答無用!!強制ダイエット開始…らしい…
でも、お腹はすく。


工藤さんにランチしようと誘われ入った喫茶店は、まだ12時前だからか人もマバラ


窓際の特等席に座りメニューを広げたまでは良かったが、無理やり彼女にオーダーされたは…ハリハリサラダ。


工藤さんはガッツリ味噌カツ定食なのに…てか、普通ダイエットしてる人の前でソレを食べるかなぁ~グスッ


美味しそうに味噌カツをほうばる工藤さんをチラチラ見ながらハリハリサラダを食べていると、珍しく彼女がニッコリ笑った。


「そんな顔しないの。
マダム凛子のショーに出れるのよ。
そのくらい我慢しなさい」

「はぁ…」

「それに、あの気難しい桐子先生に気に入られたんだから、もっと嬉しそうな顔してもらいたいわ」

「気に入られた?私がですか?」


冗談でしょ?
あんなにボロカスに怒鳴られてたのに?


「桐子先生はね、自分が認めた見込みのある娘しかレッスンしてくれないのよ。
たとえ、それが親友のマダム凛子の頼みでも、納得いかない娘なら断る。
そんな人なの。

最後までレッスンしてくれたって事は、あなたを認めたって事。
私も安心したわ」

「そうなんですか?」

「そうよ。レッスン中に、いつ断られるかってハラハラしてたんだから…
これでマダム凛子にいい報告が出来るわ」


よほど嬉しかったのか、やけに饒舌(じょうぜつ)な工藤さん。


彼女も私の事、心配してくれてたんだ…
なんだか工藤さんのメージ変わってきたな…


そして、ご機嫌な工藤さんが、マダム凛子と桐子先生の関係を話してくれたんだ。


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