涙と、残り香を抱きしめて…【完】
____ 時刻は深夜2時
場所は
私のマンションの部屋
薄暗いベットの上
汗ばんだ肌に、シルクのシーツが絡み付く…
「ふぅーっ……」
隣でため息を付く男性は
私の愛する彼
の、はず…
「もう遅いよ。泊まってけば?」
自然にサラリと口にした言葉
でもそれは、私の切なる願い。
「う…ん。
やっぱ、帰るわ」
今まで激しく私の体を求めていた人と同一人物とは思えない冷たい眼をして
起き上がる彼。
どうして?
喉まで出掛かったその言葉を、咄嗟に呑み込む。
また今日も、私は一人
あなたの残り香に包まれながら
眠るんだね…
この、乱れたシーツの上で…