涙と、残り香を抱きしめて…【完】
不確かな愛《島津星良side》
《島津 星良side》
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「んんっ……」
ここは…どこ?
ゆっくり瞼を開けると、見慣れた景色
「あれっ?」
「やっと、目覚ましたか?」
「あ…えっと…」
まだ頭はぼんやりして
自分がどんな状況に置かれているのかが分からない。
取り合えず、自分の部屋のソファーの上に居ることは理解した。
「えっとじゃないぞ!!また泥酔して!!
いい加減、自分の限界を学習したらどうなんだ?
俺はお前の世話係じゃないんだぞ!!」
「あれぇ~なんで仁が居るの?
私、確か…会社の皆と歓迎会で飲んでて…」
「潰れたんだよ。
おまけに、また悪いクセ出して…」
「げっ!!ウソ!!」
「今日の犠牲者…聞きたいか?」
ゴクリ…
仁の鬼の様な顔を見て
少し酔いが醒めた。
「…誰?」
「歓迎会の主役だ」
「ひぃ~!!成宮蒼?」
ソファーの肘掛に座り
腕を組んだ仁がコクリと頷く。
ヤバい…かなり…ヤバい…
「俺の目の前で、激しいディープキスを有難う」
冷静にそう言う仁が、何よりヤバいかも…
「他の男とキスした口…綺麗にしないとな」
「えっ?」
なんか、嫌な予感…