涙と、残り香を抱きしめて…【完】

指定されたスタジオには
他にもモデル希望の人達が10人ほど来ていた。


いつも一緒に仕事してる可愛いタイプの子達とは違い
大人っぽい雰囲気の人ばかり


そして、渡された下着に愕然とする。


それは、私が普段着けてる物とは全然違ってて
辛うじて大事な部分が隠れるほどの
セクシーで小さなランジェリー


こんなの着けるの?


周りのモデルさん達は、平然とした顔で着替え始め
私も仕方なくソレに着替えた。


鏡に映る下着姿の自分を直視出来ない…
恥ずかしくて体が震える。


帰りたい…


何度も、そう呟いた。


一人…また一人…呼ばれていく
最後に残ったのは私だった。


「島津星良さん、お願いしまーす」

「は、はい!!」

「まずはカメラテストからです」


写真スタジオで、カメラマンからポーズを指示されるが
自分でもぎこちないと分かるほど酷いモノだった。


カメラマンの顔が曇る。


もう、この時点で私の結果は推測できていた。


きっと、私は不合格…


「次は面接ですので、こちらへ…」

「…はい」


案内された部屋のドアを開けると
そこには男性が3人


1人はさっきのカメラマン
後の2人はスーツを着た30代くらいの人だった。


「どうぞ座って下さい」

「はい…失礼します」


椅子に腰掛けた私に、鋭い視線を向ける男性達


「下着モデルは初めて?」

「…はい」

「どう?その下着を着けた感想は?
正直に言ってくれ」


スーツ姿の男性が私を真っすぐ見つめ聞いてきた。


「正直に…ですか?」

「そう。君の思ったまま…正直な感想を聞きたい」


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