涙と、残り香を抱きしめて…【完】

図星だったからだ…


俺は、星良をイメージしながら、コレをデザインしたんだ。
アイツの白く透き通った肌を思い浮かべ、細くて華奢な腰を想像し、星良に似合うモノをと…


「あれれ?もしかして…当たってました?
でも、成宮部長補佐に想われる女性って、どんな人なんだろ~」


興味津津って感じで身を乗り出しニヤけ顔の新井に焦った俺は「新井なら、コレ、誰が似合うと思う?」と、無理やり話しを逸らしていた。


単純なヤツだ。
自分の質問も忘れ、腕組して考え込んでる。


「そうですねぇ~…
僕が知ってる女性の中だったら…

やっぱ、島津部長かな?
部長なら、似合いそーですね!!」


…墓穴を掘ったか…


「そ、そうか?」


質問したことを後悔していると、新井が得意げに人差し指を立て言う。


「はい、島津部長はモデル出身ですから、スタイルいいし、下着モデルもやってましたからねぇ~」

「何?部長が…下着モデル?」


そんなの初耳だぞ。


「おや?知らなかったんですか?
以前、このピンク・マーベルの専属モデルだったんですよ。
あ、そうだ!!いいモノ見せましょーか?」


そう言って、新井がパソコンを立ちあげる。


「ほら、見て下さい。
島津部長のお宝映像」


そこには、ランジェリー姿の若かりし頃の星良の姿があった。


「これは…」

「ねっ?凄く綺麗でしょ?
実はコレ、もう残ってないレア物なんですよ。
社の古いパソコンを処分する時に、初期のネット販売用のデータがたまたま残ってて、こっそり貰っちゃったんです」


得意げに笑う新井の横で、俺は呆然とパソコンの画面を見つめていた。


…そうだ…思い出した…


俺は、以前にも、コレを見てたんだ…
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