シークレット・ドア

合コン

「ふ~、おわったおわった。帰ろーっと」
「めぐー!今日さ、合コン来るんでしょ?」
「あー、私今日は止めとくね。ちょっと疲れちゃって」
「それはいつもでしょ~。よく会社でも寝てんじゃん!」
「寝てない!眠くなっちゃうだけ!」
「はいはい。ね、今日お願い!人数足りないしさ~。めぐ気利くし、お酒強いでしょ!」
「え~~~。う~~~ん・・・わかった。」
「やっぱりね。めぐは絶対来てくれるもんね~」
うん。何故だろう。私はいつも流れに任せる。気付いたら全部YES。
断りたいなんては思ってない。ただ、断らなきゃいけない時だってあるはず。
わかってるはずなのに・・・ああ、ね。ほら、八方美人なのかな。

「今日ね~イケメン率高いらしーよ!」
「どこの情報よそれ~。タイプの人居るかな?」
「めぐはなんだかんだ面食いだもんね~」
「そっかなあ~」
「そうでしょ。SMOPでは誰がタイプだっけ?」
「えー、うーーーん・・・キムタク!」
「ほーらー!でたでた!」
「ちがうってー!あはは」
「私はめぐと違って顔で選んだりはしないもんね~。」
「いい人見つかればいいねっ」
顔でなんて選んでるつもりない。偶然、そうなってるだけだ。

「カンパーイ!」
合コンが始まった。ニコニコ、うふふ。私は笑う。
「ね、めぐ、あの一番左の人かっこよくない?」
「えーっ、顔で選ばないんじゃなかったっけ?」
「あっ横空いてる!行ってくる!」
頑張れ!なんて、言っておきながら、私もちょっと気にしてた人だった。
佐々木さん。25歳、会社員。一見ワイルドだけど、ニコッと笑った顔がドキドキする。
細身で長身。そしてオシャレ。さらっとハイブランドの時計をつけてる。
きっと仕事もできるんだろうな。モテそう。
そんなことを考えながら、佐々木さんとマキのやり取りを眺めてた。
「あっ、お料理取り分けますね」
ササッと。ニコニコ。私は気を配るだけで十分だ。
合コン自体、本当は興味がない。
本当は、経験として一度来てみればいいかな、という程度でマキの誘いに乗ってから
すっかり今ではレギュラーメンバーになってしまった。ああ、もう。時間のムダ。
こういう場で、恋人なんて作ったりしたくない。
本当の私は、バカみたいだけど、俗にいう『白馬の王子様』とか『運命の出会い』なんてのを信じちゃってる。
現実、そんなのないけどね。人生なんて、偶然とタイミングだよ。
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