シークレット・ドア
「タバコ、吸うんだ」
「えっあっはい!すみません、女性のタバコって印象悪いですよね~あはは」
「そんなことは全くないよ。会社じゃ女性も普通に吸ってるっしょ」
ボーっとしてたら、佐々木さんに話しかけられていた。
ふとマキに目をやると、酔いつぶれていた。マキはお酒が弱いのだ。
「カレシ、いないの?」
「はい、もうずっといないですね~」
「作らないの?」
「ん~。まあ、できたときでいいかな、て感じです」
「俺も。仕事が今は楽しいしね」
「ですよね!私もです。」
やっぱり佐々木さんは真面目な努力家なのか。なんで合コン来たんだろ。
「今日もさ、本当は帰って作業と筋トレしたかったんだけどね。無理やり連れて来られちゃったんだよ。」
「へー、筋トレ、ですか。あはは」
「うん。日課だからねー」
ほんとだ。胸筋すっごい。筋肉興味あるわけじゃないけど。
「将来は、やっぱもちょっと上行きたいの?」
「はい。最終の目標はもっともっと上なので。まあ、まずはOL頑張るしかないんですけどね。でも同期には絶対負けたくないです」
「ふはっ、意外。ほわーってしてる割にちゃんと考えてるんだね」
「よく言われます」
「ははは。ね、よかったら今度ご飯行こうよ。もっと話したいな。熱いビジョン持ってる子と話したかったんだよね」
「わ、いいんですか?私なんかでよかったら」
「俺なんかでよかったら仕事の相談とか、悩みとかも聞くし。これ、名刺ね」
「ありがとうございます。あ、相談は乗ってほしいですけど、悩みは大丈夫です。悩みないのが私の長所なので!」
「あははは。いいねー」
「えへへ。あっ、今何時ですか?」
「ん、まだ11時だけど。帰るの?」
「はい。今日はちょっと疲れも溜まってるし。」
「送ってくよ」
「えっ!?いや、大丈夫です、まだ電車ありますし!」
「いいって。こういうときは甘えとくのがいいよ。」
「えーと・・・じゃ、じゃあ」
もーっ。やはり私はYES。
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