すっぴん恋愛~危険な素顔はオフィス内禁止~
唇は離れても体は密着したままの2人だ。

竜哉は支えていた右手を動かし、雪菜の唇に触れる。


「口紅、落ちてるよ。直してきたら?」


「えっ?」


雪菜は今更だけど、驚いたように竜哉から離れて口を押さえる。


顔は真っ赤だ。


竜哉はフッと笑い、いつの間にか落ちたファイルを拾って、パソコンを操作し始めた。


「よし!これでOKだ」


竜哉が座る隣りの椅子に腰掛ける雪菜は放心状態だった。


「じゃ、俺は戻るから顔を直してこいよ」


パソコンを閉じて、雪菜の頭を撫でる。

竜哉が資料室を出て行く姿を雪菜は、ただ眺めていた。

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