すっぴん恋愛~危険な素顔はオフィス内禁止~
パタンとドアが閉まって、やっと我に返る。今の状況を把握する。


「えっ?何?」


口を押さえて、焦る。

竜哉の唇の感触がまだ残っていた。


ゆっくり立ち上がって…資料室を出た。



「おかえり」


更衣室で化粧を直してから、雪菜はフロアに戻った。

感情のない竜哉の声に少し苛つく。


(何なのよ…もう!)


「あ、白石さん、もう大丈夫かい?」


「はい?」


山代課長が心配そうに見る。


「笹木くんから聞いたよ。資料室で気分が悪くなったって。無理しないで早退してもいいからね」


「いえ、もう大丈夫です。ありがとうございます」



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