すっぴん恋愛~危険な素顔はオフィス内禁止~
「そ、そんなわけない!」

雪菜は声を荒げた。


「まあ、いいや。運動したから腹減った。これ、食っていい?」


まだ一口も食べていないフレンチトーストを指差した。


「何が運動よ…それあげるから早く食べて帰ってくれない?」


「サンキュー」


お許しをもらった竜哉はパクパク食べ出した。


雪菜はその間に自分用のフレンチトーストを作った。


食べ終わったら竜哉は「ごちそうさん」と言い、一万円札をテーブルの上に置いた。


「じゃ、帰るわ」


「ちょっとこれ…多過ぎよ」


雪菜は一万円を握り締め、慌てて立ち上がった。


「宿泊代」


手をヒラヒラさせて、出て行った。
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