天使に逢えた日
天使といえば天国からの使者。
童話の主人公みたいにふわふわと両手両足掴まれて
まさか本当に天国に連れて行かれるんじゃないわよね?と
疑わしい思いを抱かないではなかったけれど
悪魔が来るよりはマシかもしれない。
でもそんなモンがホントに降りて来たらそれはそれで扱いに困る。
だって何を食べさせてあげたらいいのかわからない。
仙人なら霞を食べるんでしょうけど・・・
たとえ霞と言われたところで、それをどうやって手に入れるというのか。
そういえば以前、天使がヒロインのお部屋のベランダに堕ちてきて
一騒動する香港映画を観たことがあったけど
あの天使は何も食べなかったようだったしすごく男前の天使だった。
確かその天使役の俳優は・・・そうそう!金城武クンだった。
降りてくるのが金城クンなら悪くない。
・・・って私、バカだ。
何を真剣に考えているんだか。
居るワケないじゃん。天使なんて。
ちょっと疲れてるのかもしれない。
短くため息を落として、雑誌を閉じた。
こんなことをしている場合じゃない。早く帰って荷造りしないと!
引越しは明後日の土曜日。今夜と明日の夜で荷造りをすませなければならない。
提げていたカゴに昨夜足りなくなったガムテープと
ビニールテープを放り込んで、私はレジに向った。