憎たらしいほど嫌なやつ
「どちらも同じだと思うが?」
「そうかー?後ろから刺すのと、前から刺すのとの違い並みに違うと思うがね」
なれば、この男がやりたいのは『後ろから刺す』ことなんだろう。
前からナイフ持った奴が来れば、当然に驚くが。
後ろからでは、刺された後。驚きに痛みが混合し、よりいっそう相手の苦痛顔が見られることだろう。
相変わらず嫌な男だと、五十鈴は目線を外し、無視を決め込もうとしたが。
「はい、おっ死んだ」
背中を指で撫でられた。
つうぅ、と雫でも伝う冷たさは、男の指が冷たいからだろう。くわえ、五十鈴の今の服装は背中が出ているものだ。直に触れられ、一気に鳥肌が立つ。