憎たらしいほど嫌なやつ
「っ、貴様……!」
恥辱から立腹に変わり、振り向き様に平手打ちを加える体勢ではあったが、あっさりと手首を掴まれてしまうあたり、五十鈴は自身の短絡さを思い知る。
遊ばれている。
茶化すの部類に入る嫌な弄びであった。
見えた展開だと、五十鈴の手を掴む男は長い舌を出す。
「シシッ、もーちょい防護術でも身に付けろよなー。んな無防備の文字着たような恰好してんだからよぅ。あ、マジモンの痴女か、奥さまはー。バイブ入れて外出歩くタイプ?」
「いい加減に、その汚い口を閉じないか……!」
片手で更に応戦しようが、二の舞。両手掴まれ、万歳の姿勢にされてしまった。