憎たらしいほど嫌なやつ


「つか、話聞いてた?手、この手よー、どうにかなんねえの?」


持たれたままの手を見る五十鈴。いつもの手だ、と思えど、男の親指がさわりと撫でれば痛みと痒みを覚えた。


寒さもいよいよ本格的となった今、赤くなった手は霜焼けにでもなったのだろう。


ろくに手入れもせず、外にいることが多い身としては、霜焼けなんぞに構ってられなかったが。


「きもちわりぃ、赤くなって、なんかの伝染病持ちの手ぇみてえだな。まーまー、女としてどーよ?手こきしてもらうのに、これじゃあガサガサして、俺のがいてえじゃん――おっと」


五十鈴の足が跳ねて来たために、男は距離を置いた。


自由になった手をさすりながら、威嚇するように五十鈴はいるが、やはりはどこ吹く風だ。


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