憎たらしいほど嫌なやつ


「なに、口でしてくれんの?」


「誰がっ」


「意味分かってんじゃん、有望な未開通女だことー」


「っっ」


構えば構うほどに悪循環。いいように遊ばれていると悟り、五十鈴は口を閉ざした。


さする手はあいつに触られたから汚いと見ても、今までまじまじと見なかった分、ああ、確かに「気持ち悪い手」と思えてしまった。


痒みがあり掻いてしまって剥けた皮。赤くて硬そうな肌。女の手よりは、男の手。特に気になどしないのに、面と向かって言われてしまえば――傷つく。


「――、なにを」


思ってんだかと、首を振る。


最低な部類に入る男の侮辱など、犬が吠えているのと何が違う。意に介するほどのことではない。


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