憎たらしいほど嫌なやつ


「女失格じゃね、お、ま、えー」


「わ、私は……!」


反論する前に、つむじに何かを押し付けられた。開きかけた口が、ぱくんと閉じる。


「女らしく股開いてケツ突き出しもしねえんなら、せめて万年綺麗でいろや、視姦してやっからよぅ。ま、我慢出来なくなったら組み伏せるけどー!そん時までに、その気色わりい部分直しとけよ、なぁ?」


拳を横薙ぎに振るってみれば、すかす。


神出鬼没を纏った男は既にその場におらず、残ったのは――


「なんだ」


つむじ――頭からぽとりと枯れ葉の地面に落ちたのは、手袋。


どうやらこれを押さえつけられたらしいと、赤い毛糸のそれを手にとる。


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