*9月26日* ―それでも君が好き―




剛はいつだって 私より先に潤に話しかけた。


潤とはいつも一緒にいたから 剛が潤に向ける笑顔と私に向ける笑顔が違うのは いつの日にか嫌でも感じるようになった。


私の知らないところで潤は 告白までされてたんだって。


潤がそれを私に言わなかったのは 私への優しさだったんだって今なら思える。


剛は潤にこっぴどくフラれて それから私を見るようになったんだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


4限の終わりを知らせるチャイムで私は目覚めた。


「奈穂 ずーっと寝てたね。」


夏架がお弁当を手に寄ってくる。


「だって自習だったんだもん 寝なきゃ損だょー。」


「奈穂らしい考えだね。」


お昼は夏架と砂依と3人で食べる。


潤もクラスに友達ができたみたいだから 輪から外れないように お昼は別にしようってなったんだ。


食堂へ入ると すでにたくさんの人で溢れかえっていた。


「わぁー すぐにいっぱいになっちゃうね。」


砂依がどんよりした顔で言う。


「とりあえず 席探さなくちゃ。」


「そうだね。」


意外と広い食堂は フードコートみたい。


同じ制服を着ているだけで みんな赤の他人に見える。


その中に 知っている顔があるとすぐに反応しちゃうんだよね。




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