*9月26日* ―それでも君が好き―
剛はいつだって 私より先に潤に話しかけた。
潤とはいつも一緒にいたから 剛が潤に向ける笑顔と私に向ける笑顔が違うのは いつの日にか嫌でも感じるようになった。
私の知らないところで潤は 告白までされてたんだって。
潤がそれを私に言わなかったのは 私への優しさだったんだって今なら思える。
剛は潤にこっぴどくフラれて それから私を見るようになったんだ。
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4限の終わりを知らせるチャイムで私は目覚めた。
「奈穂 ずーっと寝てたね。」
夏架がお弁当を手に寄ってくる。
「だって自習だったんだもん 寝なきゃ損だょー。」
「奈穂らしい考えだね。」
お昼は夏架と砂依と3人で食べる。
潤もクラスに友達ができたみたいだから 輪から外れないように お昼は別にしようってなったんだ。
食堂へ入ると すでにたくさんの人で溢れかえっていた。
「わぁー すぐにいっぱいになっちゃうね。」
砂依がどんよりした顔で言う。
「とりあえず 席探さなくちゃ。」
「そうだね。」
意外と広い食堂は フードコートみたい。
同じ制服を着ているだけで みんな赤の他人に見える。
その中に 知っている顔があるとすぐに反応しちゃうんだよね。