*9月26日* ―それでも君が好き―
「えー今聞く?それ。」
そうやって向けられた視線。
「えっ?」
背が低くて声の高い彩音ちゃんが 小さな声で私に言った。
「だーれにも言わない?」
それって要するに誰にも言うなってことでしょ?
「言わないょ!!」
「…里香の好きな人 C組の相澤なの。」
あっ 知ってるその人。
相澤 怜邪(あいざわ りょうや)。
うちのクラスでも目立つタイプで 確か夏架がかっこいいとか言ってた。
「ほらっ 噂をすれば。」
ベリーショートの髪を耳にかけながら 麻緒ちゃんが指差す先には 相澤くんともう1人の男子。
だんだんと近付いてくる。
それと比例して 里香ちゃんの頬が赤くなる。
なんか ふつうに可愛い子だな。
見た目は私とは正反対だけど 恋をする女の子なのには変わりなかった。
相澤くんともう1人の男子は 私たちを見つけると 当たり前のように 夏架と砂依の座っていた席にやってきた。
里香ちゃんが「怜邪たちお昼まだなの?」って相澤くんに聞いた。
そしたらみんないつものメンバーって感じで話はじめちゃって 愛想笑いだけでついていけない。
潤も相澤くんともう1人の男子と仲が良いようだった。
空気的には完全に邪魔者。