*9月26日* ―それでも君が好き―




「高校ではやんないよ。」


「えっ やらないの?」


相澤くんが眼鏡をとって 私を見た。


「うん やらないの。」


眼鏡をとったら 大人びた雰囲気は薄くなる。


ちょっと無邪気な感じになるんだ。


「そっか。 私も何もやらない。 剛の野球応援する。」


「はいはい のろけはいいよ。 早く行ってあげな。 さっきから視線が痛いから。」


眼鏡をまたつけて 呆れた顔で言う相澤くんに 私も視線に気が付く。


あっ 剛見てる。


「奈穂 そろそろ行きたいんだけど もういい?」


あの聞き方は…なんかやな感じ。


「うん 待たせてごめんね。」


鞄を手にとって剛に駆け寄る。


「高木ー ばぃばーぃ。」


振り返ると 相澤くんがゆらゆら手を振っていた。


剛見てるし 何て言おうかな…?


「…うん じゃあね。」


1番無難なやつ!!


仕方ない 剛もいるわけだから。


私が隣に並ぶと剛は「会いたかった。」って優しく肩を抱き寄せてくれた。


「み…みんな…見てるよ…?」


嬉しいけど恥ずかしい私は 甘い言葉を返せない。


「見せつけてんだよ ばか。」


「ばかって ばかはいらなかったでしょ!!」




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