*9月26日* ―それでも君が好き―
「相澤 まだいたの? さっき帰るって…。」
潤も一緒にお昼を食べるくらいだから 相澤くんとはもちろん仲が良い。
「いや ちょっと会いに来たくて。」
会いに来る…? ……だれに?
「……あっ 佐々木くんか。 佐々木くんって野球部だったんだね。」
きょとんとした顔の相澤くんと潤。
「えっ…何か間違えたかな…?」
えっ えっ 何を間違えたかな。
佐々木くん…だよね 名前は合ってるよ?
焦り出す私に吹き出す潤と どんより暗くなった相澤くん。
「ぷっははははは!!」
「潤 何がおかしいのっ。」
お腹を抱えてげらげら笑う潤の目には 涙が浮かんでいた。
そんなに変なこと言ったかな。
「な? けっこー手強いんだって。」
呆れ顔で言う相澤くん。
「ふはははは んまっ がんばってよ相澤!!」
よく分かんない話をする2人に 何だか嫌な気持ちを覚えた。
「なによっ 何の話?」
だけど潤は教えてくれない。
「奈穂はいいのっ。 気にしないで。」
気になるのに。
ちょっとだけすねて その場に座った。
「あっ 剛の練習始まった…。」
ランニングをする列の1番後ろを走る剛。
その前には佐々木くんがいた。