*9月26日* ―それでも君が好き―
剛は潤が好きなんだって思ってたのに。
片想いなんだって思ってたのに。
だっていつも話しかけるのは私じゃなく潤で 気にしないふりする度に胸が痛かった。
剛を好きになった日から今日までの 色んな思い出が涙と共に溢れてくる。
「…っっ……っ…。」
泣き声は抑えきれず 電話の向こうの剛に届く。
「泣いてるの? 高木。」
優しい声が 私の涙をそっと止めてくれる。
「…あのね剛。 私からも伝えたいことがあるの。」
深く深呼吸をする。
「うん。」
剛らしいシンプルな返事。
「…私も ずっと剛が好きだった。」
ぎゅっと目を瞑った。
「お付き合い お願いします。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それから 何もかもが輝いていた。
毎日くれるメールと電話が すごく楽しみで ドキドキして夜は眠れない日が続いた。
「奈穂 好きだよ。」
優しくて甘い声。
「うん 私も剛が好きだよ。」
潤にはすぐに報告をした。
潤は泣きながら喜んでくれた。
そして 過去の私に感謝する。
剛と同じ高校を受けていたこと。
幸せが溢れ出すなか迎えた 4月7日___。